須藤医院 (すとういいん) 富岡市七日市,西富岡駅 外科,内科,胃腸科,肛門科,内視鏡内科

肺炎球菌ワクチンについて

肺炎球菌ワクチンのすすめ

現在、日本の高齢化社会の中で、肺炎は大変怖い病気の一つです。本来なら元気に暮らしていけるところが、肺炎にかかると非常に不幸な結果にもなりかねません。
肺炎は抗生物質が登場するまで、わが国の死因のトップ3にランクされる疾患でした。
抗生物質などの薬の進歩と医療技術の向上により、かなりよく治療できるようになりましたが、心臓病や呼吸器に慢性疾患のある方、腎不全、肝機能障害、糖尿 病、脾臓摘出などで脾機能不全のある方などでは、肺炎などの感染症にかかりやすく、病状も重くなる傾向があります。また、急速に症状が進んだ場合、抗生物 質による治療が間に合わないこともあり危険です。
日本においてペニシリンなどの抗生物質が効きにくい肺炎球菌の頻度は1980年代後半より増加し、現在、臨床で分離される肺炎球菌の30~50%をしめているといわれています。
最近、『予防医学』という言葉をよく耳にするようになりました。肺炎について言えば、従来は主に治療の面で議論が盛んでしたが、最近では事前に予防することの重要性が見直されてきています。
従来よりインフルエンザの予防にインフルエンザワクチンが接種されてきたように、肺炎球菌による肺炎などの予防に肺炎球菌ワクチンが開発され、接種できるようになっています。 

 

日頃の心掛け

肺炎をはじめとするさまざまな病気から体を守るための日頃の心掛けとしては、外から帰って来た時にはうがいをしたり、手を洗うなどの基本的なことが 大切です。また、天気の良い日には外へ出て日光を浴びたり、散歩などの適度な運動をする、入浴などにより体を清潔に保つことも大切です。

 

肺炎球菌とは

地球上には細菌ウイルスなど、目に見えない微生物が多くいますが肺炎球菌は細菌の中の一つです。この肺炎球菌は、体力が落ちている時や高齢になって 免疫力が弱くなってくると病気を引き起こします。肺炎球菌が引き起こす病気としては、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などが あります。

 

肺炎球菌ワクチンとは

肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな病気(感染症)を予防するためのワクチンです。従って、肺炎球菌ワクチンは肺炎球 菌以外の病因による病気(感染症)に対しては予防効果はありません。肺炎を例にとると、肺炎の原因となる微生物には各種ウイルスなど、インフルエンザウイ ルスにたくさんの種類があるように、たくさんの種類があります。しかし、肺炎球菌はその中で最も重要な位置をしめている細菌です。
このワクチンは1回の接種でいろいろな 肺炎球菌の型に効くようにつくられています。
肺炎球菌には84種類の型があって、それぞれの型に対して免疫力をつける必要がありますが、肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、そのうちで感染する機会の 多い23種類の型に対して免疫をつけることができます(すべてではありません)。これらの23種類の型で、すべての肺炎球菌による感染症の8割位をしめて います。1回の接種で23の型のほとんどに対し有効レベル以上の免疫ができます。免疫ができるまで平均1ヶ月程度かかりますが、この免疫は良く持続して5 年以上続きます。

富岡市、甘楽町、南牧村(下仁田町を除く)では平成22年4月から、満70歳以上の方への肺炎球菌ワクチンが一部公費負担されます。

患者様負担は一人3,334円(税別)です。

 

ワクチン接種後の状態

肺炎球菌ワクチン接種後の副反応(副作用)として、注射部位の腫れや、痛み、ときに軽い熱がみられることがありますが、日常生活に差し支えるほどの ものではありませんし、1~2日でおさまります。現在、過去にワクチンを受けたことのある人は、再接種(2回目の接種)はできません。接種済シールを保険 証などに貼り、接種日を記録して下さい。
肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを併用すると予防効果が上がります。
両方を接種する場合は、1方のワクチンを接種した後、少なくとも1週間以上の間隔をおいてもう1方のワクチンを接種して下さい。